人や物事に対して非常に疑り深く
委ねたり、受け取ったり、頼ったり、任せたり、託したりすることを
一切自分に許していなかった私は
自分の頭で考えて、苦しみから抜け出そう、と躍起になっていました。
「何か方法があるはず。
過去してきたことを顧みて、現在していることを記録して
徹底的にデータを検証してみよう」
その考え方で、膨大な量のノートをつけていました。
食べたもの、睡眠時間、出来事、歌の練習時間、状態、運動の記録・・・・などですね。
こんな感じです。びっしり、です。
画像はごくごく一部です。
実際は、この5倍くらいのノートが実家の倉庫に収納してありました。
それは、今どこにあるかと言うと・・・・・
「ない」のです。
捨ててしまったのです。
もう必要のないものだ、ということがはっきりとわかったので。
いわゆる「断捨離」ということをした訳です。
捨てるその時は、とても惜しい気持ちでした。
記録・データとしてだけではなく、このノート達は
言ってみれば、過去の私にとってはカウンセラーでした。
誰も他人を信用していなかった私は
このノート達を前にした時だけ、本音を吐き出すことができたのです。
ツラかった、寂しかった、怖かった、不安だった、悲しかった、悔しかった
独りぼっちだった・・・・・・
それでも尚、たった一人で自力で頑張ろうとしていた私の奮闘記
まぁ貴重と言えば、貴重な記録でした。
確かに、気持ちをノートに書き出すことによって
随分と救われた面が大きいと思います。→『書くこと』
自分の中に閉じ込められた感情を
文字という形で言葉にし、表に出してみる作業は
苦しみの激流にのみ込まれ、溺れている自分の姿を
ほんの少し距離をもって見ることができるようになることでもあるのです。
書くことで、私は狂わずに済んだ、と言ってもいいと思います。
でも、私がノートをつけていた“本来の”目的は、あまり果たせなかった。
あまり、と書いたのは、少しは参考になったことがあったからです。
苦しみの根源的な解消には結びつかなかったけれど
これら記録・データを検証して、おぼろげながら見えてきたのは
よく眠り、よく運動している時、身の回りを整えている時は
どうやら心も声も調子がいいようだ、ということです。
今は、もうノートをつけることはなくなりました。
捨ててしまった大量のノート達のことも、感謝して別れを告げた、という感じで
惜別の気持ちは薄らぎました。
さて、ここからが本題です。
長年にわたる記録ノートから、私が掴んだ一握りの朗報は
今、振り返ってみると、脳波が≪脱・高ベータ波≫している時なのです。
深く眠っている時、誰でも脳波は≪デルタ波≫を示します。
私は典型的な長眠型なのですが、8時間、できれば9時間眠れると
非常に調子がよかったです。子供か!と、よくツッコまれました。
それだけ≪高ベータ波≫で送っていた日常生活に疲弊していた
と言うこともできるでしょうけれども
もう一つには、脳波が≪脱・高ベータ波≫している時間が少しでも長ければ
キツい状態から抜け出せると見ることもできます。
それから、洗濯・掃除・洗い物などの家事全般
身嗜みを整えるという意味で、アイロンがけとか、毛玉をひたすら取るとか(笑)
アクセサリーや靴などを一心に磨く、とかいう
いわゆる単純作業(懸命に頭を使って考えなくてもできる作業)をしている時は
脳波は≪脱・高ベータ波≫を果たします。
そして、運動なのですが、私は20代の頃からずっとジョギングを日課にしてきました。
「適度な運動を毎日続けることは声にとっても心にとっても好調を維持するポイントだ」
ということが、ノートに記し続けたデータから判っていたからです。
2011年のブログ記事を見つけました。
ジョギングの習慣についてちょっと書いてあります。→『よい習慣』
脳波の研究では
ちょっとシンドイな、と感じる程度の運動は
≪シータ波≫を誘導する行為だということが
わかっています。
≪シータ波≫と言えば・・・・
中国の古い言葉に(欧陽脩という人が説いたと言われています)
「三上(サンジョウ)」というのがあるのをご存知の方も多いと思います。
三上(サンジョウ)とは
馬上(移動中)
枕上(睡眠中、或いは、うとうとしている時)
厠上(トイレという意味ですが、むしろ入浴中と解釈した方が理に適っているように思います)
のことです。
これが「良い考えが生まれやすい状態」である、と欧陽脩は説いた訳です。
これらは、一生懸命、頭を使って考えている状態、というより
むしろ、ぼけーっとしている時間です。
まぁ、入浴中やトイレの中、電車の中、眠りに落ちる間際まで
深刻に頭をフル回転させていた私のような人もいるでしょうから
絶対とは言えませんけれど
一般的には、思考をつかさどっている左脳がお休みしている時
という共通点があります。
これが西洋に行くと“4B”となります。
Bus,Bed,Bath,Bar です。
最初の三つは、それぞれ移動手段のバス、眠るためのベッド、そしてトイレ・入浴の意味ですから
欧陽脩の「三上(サンジョウ)」とまったく同じですね。
4つ目は、私の大好きな(笑) お酒の意味でバーです。
ほろ酔い状態では、普段きっちりものを考えている人も気持ちが緩みますね。
思考がおぼつかなくなり、左脳はやはりオフになりやすいのです。
何となく、見えてきたでしょうか?
人の心を苦しくさせ、その状態から脱せられなくなると
病気にまでなりかねない≪高ベータ波≫状態は
左脳優位の思考がフル活動している状態とも言えます。
≪高ベータ波≫状態を脱するための条件として重要なことは
必死に「頭で考えて何とかしよう!」というやり方を手放すことです。
そうすると、この記事の冒頭で語った過去の私のやり方は
≪高ベータ波≫を増長させることはありこそすれ
そこから脱するのには最も適さないやり方だったということがわかります。
でも、ここからが大変でした。
今まで、自力で考えることだけを頼りにして生きながらえてきた私が
「考えるな!感じろ!!」(by ブルース・リー)といきなり言われても
それが、いかに正解だと「頭では」理解していても
止まらない、止まらない!
思考は、そうやすやすと止まってくれないのですよね・・・・・
まさに、私は
≪高ベータ波≫中毒患者であった訳です。
中毒から脱する第一歩は
自分が中毒状態であると認識すること
ここから始まります。
これについては⇒コチラをご参照戴ければと思います。