脳波が長期的に≪高ベータ波≫状態にあると
人はどのようになるか?ということについて書いていきます。
本来、高レベルのベータ波が脳波として現れるということは
その生命にとっての「緊急事態が発生しているぞ!」と
その人が認知している、ということです。
例えば、草食動物が平和に草を食んでいる時
肉食動物の気配を感知したとします。
すると、危機に対して素早く対応する集中力を高められるように
心臓、肺、交感神経が生理的に興奮し
「闘争」或いは「逃走」神経システムのスイッチが入ります。
(この「闘争」と「逃走」が同じ音なのも興味深い一致ですね)
これと同じシステムが、私たち人間にも備わっている訳です。
「サバイバル」=「生き残る」ために、全神経を外敵に集中させて
生命維持のために備えるモードであるということから
この状態を「サバイバル・モード」と呼ぶことにします。
私は、何十人と参加していたあるワークショップで、ザーッと見渡されただけで
「今までずっとサバイバル・モードにあって、集中過剰の状態で生きてきた人」として
たった一人、指名されてしまったことがあります。
その時の記事はコチラ→『ただそこにいる人になる』
見る人が見ると、サバイバル・モードの脳波を出している人は
外観だけでわかってしまうんですね。 すごいことです。
さて、それはさておき・・・・
≪高ベータ波≫を示す「サバイバル・モード」が長期化すると
何が起こるか?です。
想像に難くないと思いますが
常に命の危機にさらされているのと同じ反応を心身が示していれば
膨大なエネルギーを消耗します。
緊急事態モードの≪高ベータ波≫は心理面にも大きな影響を及ぼし
知覚、行動、態度、感情のすべてが非常事態モードに変化するのです。
注意力の矛先はすべて外的環境に向けられます。
これはすなわち、自分の感覚や感情、情緒や欲求、状態を感じ取る機能のスイッチはオフになるということです。
ライオンに狙われているのに
「いや、まだこの草食べかけだし、まだお腹空いてるし
美味しいし、食事中に走って逃げたくなんかないよー」
と言っていられないのと同じことです。
クライアントさんの多くが口にする悩み、苦しみに
「自分が何を望んでいるのか、何がしたいのか、わからないのです」
という訴えがあります。
したいこと、望みそのものがないのではなく
それを感知する機能のスイッチが長期的にオフになっているのだ、と私には見えます。
感情面、心理面では、脳内物質が分泌されることによって
危機感による
「不安」
「心配」
「怒り」
「苦痛」
「困難」
「フラストレーション」
「怖れ」
が誘発されます。
と同時に、その人の持っているエネルギーのかなりの量は
外界の問題に集中的に使われていますから
体内環境を整えるために使えるエネルギーが不足してきます。
消化や、血液循環を担っている自律神経系は乱れ
お腹を壊しやすくなったり、反対に便秘になりがちだったりします。
極端な冷え性であったり、血流が悪いことによる“凝り”が身体のあちこちに出ます。
心身が調和状態にある時に働くべきはずの免疫系が
身体の成長や修復に必要なペースを保てなくなりますので
風邪をひきやすかったり、ということも起こります。
呼吸は浅く、顔色は優れず、肌にもトラブルが出たりします。
このような事柄を次々に書いてゆくことは
私にとっても大変つらい作業なのですが・・・・
長期的な≪高ベータ波≫状態は
癌などの重篤な病気を誘発する十分な原因にもなり得ると
私は思っています。
そして、とても重大なこと。
その長期的≪高ベータ波≫を発している脳そのものが不調和を起こします。
脳の秩序が乱れ、不揃いな信号が送られ続けると
脳内で組織的包括的コミュニケーションが取れなくなり
一人の人格の中で起きている経験として統合できなくなります。
これが「解離性障害」です。
私が患った発声障害(ジストニア)は
「生命維持」に関わるとされる基底核という大脳の一部分の異常と言われています。
これも、≪高ベータ波≫の長期化が原因であるように私には思われるのです。
まさに「生命維持」=サバイバルのため
非常事態の緊張状態に長期間とどまっていたために
脳に新たなプログラムが組み込まれたのかも、と。
これは、脳の「異常」なのではなく
むしろ脳が「正しく」反応している、ということではないだろうか?
・・・・・・・
自分の罹っていたジストニア、或いは発声障害という病気の
原因、システム、治療法が明確になっていない現在
このへんのところに重要な何かがあると私は予感しています。